2021年 12月

 今年もはや12月、師走になりました。国内では新型コロナも少し落ち着きを見せ、ご法事に小さな子供さんが参加される姿が見られご葬儀の会葬者の数も増す傾向にあります。県外の方々が納骨堂へ参拝される姿も見られるようになりました。まだ見ぬ新たな変異ウィルスへの恐怖や不安もありますが、今年はどうにか少人数の忘年会なら行えそうです。
 以前は週に一度はお邪魔していたご夫婦で営む近所のちいさな洋食屋さん、先日ほぼ2年ぶりにお伺いし久しぶりで積もる話もあり、楽しい時間を過ごさせていただきました。やはり人と人が会い、会話することは本当に大切なことです。
 年が明け状況が許せば、休止していた様々なお寺の行事を順次再開していければと思っています。正善寺食堂では、私もコロナ自粛中に磨いた料理の腕を皆様にお見せできる日を楽しみにしております。メニューは住職特製チキンカレーです。

12月ポインセチア

  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

2021年 11月

 NHKで10月11日に放送された逆転人生「人生最後の食事で逆転できる」では、人生を通して食に向き合ってきた管理栄養士の心温まる活動を伝えました。
 大阪市にある淀川キリスト教病院では、ホスピスで過ごす末期のがん患者に向けて1ヶ月に一度「リクエスト食」を提供していました。栄養管理士の大谷幸子さんは病院長に「1ヶ月に一度では間に合わない」と訴え、毎週一度、患者が食べたいメニューを聞き取り全力で応じています。患者がリクエストするのは何気ないメニューがほとんどです。ただそこには『人生の思い出』が詰まっているといいます。ある人は「すき焼き」をリクエストし、長年連れ添ってきた妻と一緒に鍋をつつきました。しかし本人が食べたのはたった一口、後は妻が食べるのを見ていただけ…。
大切な人たちと囲んだ懐かしい食卓を思い出すほっこり心温まる取り組みです。
 誰にも訪れる最後の食事、あなたは何をリクエストしますか?

11月小菊

  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

2021年 10月

 お寺は多くの人々が集う場所。開放的でお参りしやすく、参詣者にとって気持ちよく、そして清らかな場所でありたい。特にコロナ禍の今、清掃の行き届いた清潔なトイレは安心してお参りして頂くために必要不可欠な場所です。イオンなど商業施設に行くと広く使いやすく清潔なトイレが当たり前のようにあります。
 本年9月23日お彼岸の中日の出来事です。「トイレのゴミ箱がペーパータオルですぐに一杯になる。トイレットペーパーもすぐになくなる」とスタッフが驚いたように話していました。それを聞いてお参りに来られる方に安心して利用して頂けるトイレなのだとちょっと嬉しかったです。清掃が行き届いた清潔で使いやすいトイレを10年後も100年後もお寺のある限り大切にしていきたいものです。ふと…植村花菜さんの「トイレの神様」を聞きたくなりました。

10月秋桜

  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

2021年 9月

 オリンピック・パラリンピックで活躍した選手たちの歩んできた道のりが紐解かれていきます。それは人の弱さ、そして困難を乗り越えていく強さ、支え励まし続けてくれた人々、それらは多くの人に大きな感動と勇気を与えてくれます。テレビの画面に映し出される勝者でなくても参加したすべての選手にそれぞれの物語があります。
 同じようにテレビの前で応援している名も無いすべての人たちにもそれぞれ歩んできた人生があります。苦悩に押しつぶされ、悲しみ、諦め…そして立ち上がり、歓喜し、世界中の人々のひとり一人が違う場所、違う時代、違う環境の中でそれぞれの人生を歩んでいます。

 悲しくて歩めないとき、立ち止まり共に居てくれる人がいる
 苦しくて歩めないとき、共に歩んでくれる人がいる
 どうしていいのかわからないとき、手を差し伸べて優しく導いてくれる人がいる
 嬉しいとき、共に喜んでくれる人がいる

 世界中のすべての人々が人の支えを感じることのできるあたたかい社会であってほしい。アミダ仏の願いは生きとし生けるものすべてが救われることです。

9月夜顔

  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

2021年 8月

 コロナ禍で1年延期。選手にとって大きな不安が続く日々の中、ついに東京オリンピックが開会しました。連日の日本人選手の活躍に大興奮、大感動!テレビの前で釘付けの毎日です。特に若い選手の大活躍に驚愕します。
 男子体操の19歳橋本大輝選手は初出場にもかかわらず、予選・団体決勝とチームの先頭に立ち、今までやってきたことを信じて冷静に演技し、僅差の2位銀メダルに導きました。そして個人総合では、最終種目の鉄棒を残して3位。テレビで見ているだけでも緊張するのにいつも通り堂々の素晴らしい演技をやりきりました。なるべくしてのチャンピオン、金メダルに輝きました。
 バドミントン男子シングルスの桃田賢斗選手は、金メダルに最も近いと大きな期待を背に競技に挑みました。2016年に自身の違法賭博行為により無期出場停止、同年のリオ五輪出場の機会を失いました。2020年1月にはマレーシア遠征の際、交通事故で重傷を負い視力の回復に苦しみました。度重なる苦難を乗り越えたどり着いた東京五輪でした。しかし結果はまさかの予選敗退に終わりました。ツイッターで今まで本当に辛い時を支えてくれた方々へ感謝の言葉をつぶやきました。
 すべての競技者に支えてくれた人々、応援してくれた人々がいます。それはこれからも変わることはありません。今後の捲土重来を期待します。

8月ひまわり

  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

2021年 7月

 6月6日サンフランシスコのオリンピック・クラブで行われた女子プロゴルフ最高峰の全米オープン。優勝は弱冠19歳の笹生優花さん。プロになってわずか1年半の快挙でした。
 彼女は日本人の父とフィリピン人の母の長女としてフィリピンで生まれました。来日当時は4歳でフィリピン(タガログ)語しか話せず友達ができませんでした。父親について行ったゴルフ練習場が彼女にとって一番の居場所になりました。ゴルフに夢中になり練習に励みました。やがて夢は大きく膨らみ世界を目指すべく英語も勉強しました。今ではフィリピン語、日本語、英語、タイ語、韓国語が話せるそうです。
 優勝インタビューで彼女は「まず家族にありがとうを言いたい。家族がいなければ私は今ここにいない」と涙ながらに父母兄弟への感謝を述べました。幾多の困難を乗り越え、厳しい練習に耐え、そして彼女の姿は今ここにあります。
 22歳までフィリピンと日本の国籍がある笹生さんは、フィリピン代表として東京オリンピックに出場します。彼女の活躍が楽しみです。

7月朝顔

  
  
  
  
  
  
  
  
  
    
  
  

2021年 6月

 今、私たちの社会はコロナウィルス・地球温暖化・国家間の対立・競争など多くの問題を抱えています。すべての事象が急激に変化し続け、その速さについて行けず、未来の見えない日々は人々の不安を煽り、心が落ち着くところがないように思えます。
 世界をリードしてきた「技術大国日本」も過去の話、日本企業も自らの存在意義を如何に示すことができるか…と、生き残りをかけて懸命にもがいています。
 長い歴史の中、寺院や宗教者も輝きをもって社会の中で一定の役割を果たしてきました。しかし近年、その存在すら厳しい状況にあります。今、私たち宗教者の存在意義は何か、役割は何か、また社会や人々が求める宗教者とは何かを真摯に考えなければなりません。生きることすら困難な社会であった鎌倉時代、親鸞聖人はわかりやすい教え・誰でも唱えられる念仏によって苦しみを共有し、すべての人々が平等に救われる道を示されました。
 どんな時代になっても私たちは「苦」を抱え生きていかなければなりません。宗教者の存在する理由はたったひとつしかありません。人々が抱える様々な苦悩にどれだけ関心を持ち、少しでもその人のそばに近づくことができるかです。コロナ禍の中、職を失ったり、行く場所を失ったり、孤立したり…大変な思いをしながら生きている人々が間違いなく増えました。追い詰められ最悪の選択を迫られる場合も…。
 最近は、深刻なご相談をお受けすることが目に見えて増えました。より丁寧に、より親身にお話を伺うこと、一緒に考えることを心掛けねばと思っています。

6月紫陽花

  
  
  
  
  
  
  
  
  
    
  
  
  
  
  
  
  
  

2021年 5月

 武藤友木子さんはウーバーイーツ日本の代表です。料理・飲食の宅配サービスを手掛ける新しい会社ウーバーイーツは、新型コロナウイルスの影響で急拡大しました。新しいビジネスを生み出す過程では、新しい課題も生まれます。その時どう対応するか、本当に世の中のプラスになる施策を考える。すべてに彼女のリーダーシップが問われます。
 彼女の座右の銘は「二兎を追う者 三兎を得る」です。簡単に片方を諦めず、両方を満たすために何ができるかを考えることでより良いソリューション(解決法)が生まれます。大変ポジティブでエネルギッシュで見習うべきところが満載の素晴らしい女性経営者です。
 急速に変わりゆく社会の中、苦悩をかかえ懸命に生きる人々のため何ができるか。寺も世の中のプラスになる施策を考え実行していかねばなりません。今までの法要中心の厳粛な場所からもっと気軽に訪れることができる場所へ、みんなにとって居心地の良い場所へ、心やすらぐ場所へとなれるよう精進してまいります。

5月カーネーション

  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

2021年 4月

 暗いニュースばかりの昨今、東京五輪代表選考会を兼ねた第97回 日本選手権水泳競技大会・女子100mバタフライ決勝、池江璃花子選手が優勝しました。プールからしばらく上がれず流す涙。その姿は日本中をあたたかい感動に包みこみました。
 彼女の歩んだ日々、乗り越えた困難は現在様々な苦難の中にある人はもちろん、すべての人々に勇気と力を与えてくれました。そしてがんと闘う方々の希望の光となることでしょう。おかえりなさい池江選手!ありがとうございます。

4月チューリップ

  
  
  
  
  
  

2021年 3月

 2011年3月11日 南三陸。当時15歳、中学3年生の須藤碧さんは、翌日に卒業式をひかえ最後の学校生活をおくっていました。14時46分、大地震が発生。すべてが一変しました。そして、巨大な津波が町をのみつくしました。
 数日後、碧さんはお母さんと再会し抱き合って喜びました。民宿を営むお母さんは避難してきた多くの人々のため、ご自身も手に怪我をしながら懸命にお世話をしていました。熊本から救援に来られていた看護師がお母さんの変調に気付き検温すると38.1度の熱。大きく腫れた手を消毒・治療してくれました。そして、その手をとり優しく語りかけました。「不安でしたね」。その瞬間、お母さんは看護師の胸でワッと泣き崩れました。碧さんがいくら気遣ってもお母さんは「平気、平気。大丈夫!」と気丈に振る舞っていたのに…その時、碧さんは看護師になることを決心しました。
 あれから10年。25歳になった碧さんは仙台市の病院で働いています。身体も心も救える看護師として。

3月桜

  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

2021年 2月

 2020年は東京オリンピック・パラリンピックで国中が熱狂!…するはずでした。しかし新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する中、1年の延期となり、今その開催も危ぶまれています。スポーツは人々に感動と喜びを与えてくれます。東京オリンピック・パラリンピックが無事に開催されることを心より願います。
 仕事を失ったり、やりたいことができなくなったり、やるべきことが見えなくなったりと、マイナス面が多く皆が不安に押しつぶされそうな日々が続いています。そんなさまざまな制約があるコロナ禍ですが「家族との時間や趣味の時間が増えた」「日常の些細なことに楽しみや喜びを見つけた」など生活の変化に前向きに対応している方の存在を知ると元気が出ます。「マイナスをプラスに!」人々は知恵を絞り新たな挑戦を始めています。
 キューピーの藤原かおりさんは、外食から中食・内食へと急変する巣ごもり需要を捉え「食卓の愛」をテーマに商品開発を進めています。「家族団らんが戻ってきました。良い文化は定着しこれからも続きます」彼女は笑顔で語りました。

2月梅

  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  

2021年 1月

あけましておめでとうございます

昨年は、多くの人々にとって大変厳しく息苦しい一年でした。
その中にあって新たな生活や挑戦が始まりました。
大切な事にもたくさん気づかされました。
不安な日々は今しばらく続きますが、春はすぐそこまで来ています。
上を向き前に進みましょう!

1月椿